>
トップ実践ノウハウ訴求点明確化資料の作成

訴求点明確化資料の作成

はじめに

 新商品・新規事業が顧客に認知され、購買行動を起こしてもらわうために、カタログ、ポスター、Web、映像、発表会や展示会・・・・の様々な伝達手段で、アピールを行うことになります。 そこに掲載するメッセージの文章を具体的に決めなければなりません。ニュースのタイトルになるような十数文字程度のキャッチーな文章から、30秒程度で顧客を説得する文章や、写真、映像、イラスト、グラフ・・・などを具体的に決めて資料に落とし込んでみましょう。
 少しおおげさに言えば、ここで全てのマーケティング活動の根幹となる情報を作り上げることになります。非情に重要なステップです。
 新商品・新規事業を担うリーダーは忙しく日々を過ごしているので、なかなか落ち着いた時間を取りにくいものですが、ここは重要なタイミングですので落ち着いて時間を掛けてもらいたいものです。


スケジュール

訴求点明確化の資料作成
 ここでは、カタログ、Webページ、広告、発表会、展示会・・・など、これから製作する各コンテンツに使うコアとなる文章を具体的に決めていきます。 また、これらを決めることにより、商品写真や商品利用シーンの撮影内容を決めていくことにも繋がっていきます。
 ここでの作業に着手するために、まず、戦略策定で考察した資料を並べておきましょう。すなわち、様々なフレームワークを使って、新商品の『敵を知り己を知る』ために分析した資料と、これから導かれた顧客価値を考察した資料を用意します。
 そして、この訴求点明確化資料の作成は、新商品を発表する4ヶ月前には着手をしておきたいものです。


この段階で用意するもの

実弾
アピールポイントをブレストで考察
 例えば、カタログの表紙を飾る”気の利いたキャッチコピー”は、専門のコピーライターに作らせるとしても、彼(彼女)に、新商品・新規事業がどのようなものであるかを適確に伝えなければなりません。 あの有名な電通のような広告業者であっても、彼らは手段に過ぎず、彼らに最大限の活躍をしてもらうための情報は、新商品・新規事業を担うリーダーはズバッと語って提供できるようになっていなければなりません。
 では、そうしたアピールポイントは、どのように整理し、準備していけば良いでしょうか?

 アピールポイントを以下の5つの要素で考えて用意していきましょう。
 他の誰でもない新商品・新規事業を担うリーダーであればこそ、この5つのポイントを夢に出るまで考えて、明確にしておく必要があります。

 ・エレベータトーク
 ・メインタイトル
 ・サブタイトル
 ・特長3つ
 ・利用シーン(複数可)

 また、これらの要点が“見える化”されていれば(情報として記述されていれば)、様々な点で役立ちます。

 ・仲間と共有し論議することができるようになります。
 ・販売に必要な制作物を製作する業者(カタログ作成、撮影・・・)に、あなたの意志を整理して伝えることができるようになります。
 ・販売を担う方々(自社の営業、代理店、店員)が使う説明資料を作る際にも、ブレなく効果的な活動を促すことができます。


5つのアピール要素

  • エレベータートーク
     まず、数十秒で 新商品・新規事業の価値を語れる文書を考えてみましょう。本当に出資者に説明する際のトークとなりますし、カタログの説明文のコアとなります。プロモーション映像をつくるのであればシナリオ作成のバックボーンとなります。広報資料であれば、記事として書いてもらいたい要旨となりますし、内部資料であれば、営業マンのセールストークの中核になるものです。
     NHKのアナウンサーは、「1分300文字」だそうです。だから、エレベータを待つ時間の30秒で語るとしたら150文字ぐらいになります。
     想像してください、もし、新商品について記者に問われたら、あなたは何と答えたら良いのでしょう?NHKの7時のニュースで1分だけ取り上げてもらえる絶好の機会を得られるとしたら何を言いますか?
     そこまでの好機が来なくても、他者に要領よくアピールポイントを伝えることができるように、エレベータートークの形にまとめておくことが必要です。 あなたが新商品・新規事業の価値をズバッと語れるようになっていなければ、誰があなたの新商品を買ってくれるでしょう。
     なお、形容詞や副詞は肝心なポイントにだけ使い、多様し過ぎないようにして文を考察しましょう。素晴らしい、画期的な・・・などのワードです。もし、例えば「画期的な」を使うのであれば、以前の商品と比べて何が違うのか具体的、客観的な説明が別途できるだけのエビデンス(証拠)を揃えることができていなければ言うべきではありません。

  • キャッチフレーズ(タイトル)
     エレベータートークができましたら、これを大幅に絞り込んで、十数文字にしてみます。まるで俳句を読むようなものです。
     この文は、カタログやWebページの表題の原案になるものであり、メディア(新聞、雑誌、Webニュース)であれば、見出しとしてもらいたい文書(フレーズ)です。
     俳句に季語を入れるように、顧客にとって興味を引く言葉(単語)を入れると良いでしょう。狙った顧客層があるハズですから、その人達が興味を持つ専門用語を入れることを考えましょう。大衆向けならば、その時に流行っている言葉を考えてみましょう。あなたの商品を顧客の候補の方が、Webページの検索エンジンで打ち込む単語を想像して考えてみましょう。

  • サブタイトル
     もし、キャッチフレーズで顧客価値のアピールを力点としたのであれば、サブタイトルでは、競争優位(競合との差別化)をアピールする。という具合に補完する説明も用意しておきましょう。

  • 特長説明
     キャッチフレーズでは説明し切れない内容を3つに分けて、それぞれ50文字ぐらいの文書にして魅力を説明しましょう。(特長1。特長2。特長3)
     特長が多い程、魅力の高い商品であるでしょうけれども、そんな場合でも、ここでは敢えて絞り込んで3つにしましょう。伝えたい相手が人間である以上、3つぐらいに絞らないと大事なことは伝わりません。(人間の認知能力の常識に従って考えましょう)
     ここでも、顧客価値を記載するのか、競争優位(競合との差別化)かを記載することになります。 特長を説明する際には、根拠となる数値を含ませることで、できるだけ客観性が感じられる文書とすることが望ましいのです。
        ・業界初の ○○%の性能を実現した・・・・
        ・○○%のお客様が満足と応えた安心感・・・・

  • 利用シーンのビジュアル
     商品を利用、商品しているシーンを用意します。文章での説明ではなく顧客候補に伝えるのです。文章が左脳に伝えるならばビジュアルは右脳に伝えるのです。
     お金があれば、モデルを使った写真撮影という方法やCGやイラストを使ったビジュアルを用意することとなります。お金がなくても、シーンを説明できるように文書化しておきましょう。そして上手でなくても良いので手書きのイラストまで進めてみましょう。
     顧客の属性(個人ならば性別、年齢・・・法人ならば、業種や業態)や背景(屋内or屋外、高級or大衆的 日常的or非日常・・・)を説明することになるます。

 アピールポイントと共に、発売開始日(When)、販売窓口(Where/Who)なども情報も資料としてまとめておきましょう(5W1Hの一部情報)。 また、商品の仕様表や注意点(特記事項やご利用の条件など)などの資料 や ステークホルダーの関係図などの資料もまとめておきましょう。


最後に

 訴求点明確化資料は、商品を売り出すタイミングになって、カタログ、ポスター、Web、映像、発表会や展示会・・・・のために用意するのではなく、実は新商品・新規事業に着手する初期段階から着々と考察し続け、だんだんと仕上げていくことが必要だとも感じていただけたのではないでしょうか。

 次のステップは、ここで考察した5つのアピールポイントを、顧客が手にするコンテンツに組み上げる取り組みを行います
 商品写真撮影カタログ製作Webページ製作広告原稿製作内部資料作成
 どの活動に読み進んでいただいても良いのですが、特に気になる点がなければ、理解の容易化のため、まずは、カタログ作成 に進んでください。