展示会に出展する
はじめに
新商品のWebページに展示会への出展を表明することで、新商品に興味を持っている人との接触機会を拡大できる可能性が高まります。
新商品のお問い合わせを電話やメールで受けた際にも、「是非、○○展示会に来てください」とお伝えすることができます。新商品の発表直後に多数の引き合いを受けたとしても、全ての引き合い先を訪問して回りご説明をすることは人数的にも難しいでしょう。こちらから出向くのではなく、先方に来てもらうことで、効率的に商談機会を作ることができます。
有望な展示会の日程から逆算して発表日を決め、開発スケジュールを決めていくことも経営視点では大事です。出来上がったタイミングで売るというのではなく、売れるタイミングに合わせて作り上げるという考え方をしなければなりません。スポーツ選手は試合に合わせてコンディション作りをしていきます。コンディションが良くなったら試合をするという態度のスポーツ選手は皆無でしょう。成功する事業も同様です。
展示会への出展には対外的なお披露目の場という役割のみならず、事業に関わるメンバーへの士気を高めていくという、事業を成功に導くために不可欠な関係者の高揚を醸成していく効果もあります。チームスポーツでも試合に向けて、選手の皆が個々の体調、士気を高めていくのみならず、チームも団結を高め、勢いを上げ潮に乗せていくという取り組みが欠かせないことと同じです。同様に、開発メンバーにも関係パートナーにも、期日を決めて、士気を高めていくことで事業の成功をコミットしていきます。
ここでの説明では、、あなたが初めて出展すると仮定して説明します。また予算も小規模と仮定します。最小の1コマでの出展を行います。広さは、展示会開催者により多少は異なりますが、一般的には3m×3mです。
「数十万円の軍資金で"のろしを上げ"て、打って出る」という想定で以下の説明を進めます。もし幸いなことに大きな予算を持っていたとしても基本は同じですから飛ばさずに読み進めてください。最後に中規模(数百万円)、大規模(数千万円以上)での注意点を説明します。
スケジュール
また、逆に言えば、その商品をデビューさせるにふさわしいビッグイベントの期日がわかっていれば、その日を狙って、新商品を発表する計画を組むのです。だから、新商品の事業をうまく成功させようとするならば、これに関連するイベントがいつ行われる予定なのかを調べて、条件が整えばこれに出展する計画をあらかじめ組むことも考慮に値するのです。
展示会に出展するまでの流れ
展示会への出展は下記の流れで進めていきます。展示会の数ヶ月前から準備に着手しなければなりません。さらに、展示会への出展作業に着手する前の段階で、戦略が固まっていること、ターゲットの絞り込みが済んでいることも欠かせません。
そして、遅くとも3ヶ月前にはブース装飾業者の選定を開始します。機密保持契約を結び、概算見積を取得しておきましょう。意中の業者には予定期間のスケジュールを空けておいてもらうようにお願いしましょう。
- 出展する展示会を探す、決める
- 申し込む
- 申請手続き
- 展示物準備1 ブース装飾
- 展示物準備2 商品展示
- 準備日
- 当日
- アフターフォロー
- 小規模(数百万円)での注意点
- 中規模(数百万円)での注意点
- 大規模(数千万円以上)での注意点
出展する展示会を探す、決める
まず、これが大事です。魚釣りを想定してください。鯛を釣るならば海に行かねばなりませんし、鮎を釣るならば川です。川ならばどこでも鮎が釣れるのかと言えばそうではありません。上流の清流に行かねばなりません。しかも、釣れるスポットとなる場所は限定的なエリアとなります。あなたの商品に興味を示してくれる人たちが集う場を探すことが事業の成功と新商品の引き合い獲得の最初の一歩です。
あなたの新商品の"ジャンルや特長"と"展示会" と複数ワードでGoogleで検索をすれば、候補となる展示会の情報が出てくるはずです。
また、東京ビッグサイト、幕張メッセ・・・などの展示会が開催される会場のWebページを見れば、およそ一年先まで展示会の予定が掲載されています。それをつらつらと眺めれば候補となりそうな展示会をピックアップできます。
欠かせないのが、人に評判を聞くことです。あなたの新商品の購入を検討してくれそうな人、販売してくれそうな人、開発のパートナー、・・・・の皆さんに、聞いてみて、出展効果のありそうな展示会を聞くことです。
新商品の公式発表のタイミングとの兼ね合いも重要になります。できれば、新商品の発表後の3ヶ月以内のタイミングで出展して、多くの人の目に触れる場でのお披露目を実現することです。
新商品のプレスリリースに、『なお、この新商品を○○展示会に出展します。』と記載することで、新商品を見に来てくれる人も増える可能性があります。
展示会場には、話題になりそうなニュースのネタを探している記者もやってきます。ニュースは鮮度が大事ですから、まだ登場してホヤホヤの新商品であれば、記事に取り上げてもらえる可能性も高いのです。運が良ければ夜のTVニュースで取り上げてもらえるかもしれません。
申し込む(遅くとも3ヶ月前までに)
どの展示会に出展するのかを決めたら、その展示会の事務局に連絡を取ります。出展手続きの書類を送ってもらえます。書類に必要事項を記載して送れば、出展費の請求書が送られてきますのでこれを振り込み出展の手続きは完了します。
でも正式に申請書を送る前にいくつか確認や調整をしておきましょう。そして、ここでは、1~2コマで出展することを想定して話を進めます。
まず、出展費に、電気工事、電気代、机、看板、・・・などの事実上、必要不可欠なモノが費用に含まれているのか確認します。一般的に、東京ビッグサイトのような大規模会場で行われる展示会では、これらは含まれておりません。出展手続きの資料と一緒に送られてきている別の申請用紙で、これらを手配する手続きをしていく必要があります。
また、あなたの新商品の販売で連係できるパートナー企業もその展示会に出展するという情報を掴んでいるのならば、その隣や近辺に配置してもらうよう各方面にお願いして、できるだけ連携するように準備することも考えて見ましょう。
必ずしも確認や確約が取れるものではありませんが、出展の位置について展示会の事務局に確認や相談をしてみましょう。もし、あなたがラーメン店を出すならば、人通りの多い大通りに店を出す場合と、裏通りに店を出すのでは、準備にも結果にも大きく影響があります。 これと全く同様で、願わくば大通りの角地を確保したいのです。出展コマの位置は、大きなコマを出す出展社から優先して決められていきます。しかしなから1コマ出展でもできるだけの交渉はしなければ損です。メール、電話で交渉するのみです。「う~ん。出展しようかどうか迷っているけど、角コマに配置してくれるならば出展したいと思う。」という感じででも食い下がってみましょう。
申請手続き
展示会の事務局との確認や交渉が終わりましたら、展示会への出展の申請手続きをおこないます。出展申請の書類に必要事項を記載して送ります。最近ではWebで申請するケースも多くなってきました。
さらに、出展費に、電気工事、電気代、照明器具、展示机、社名の看板、床のカーペット・・・など、出展に必要と思われる最低限のモノさえ含まれていない場合も多くありますので、この場合は、これらを個々の業者に手配もしていく依頼や申請も行わなければなりません。
さらに、『パッケージ装飾』だけでは過不足がありますので、追加で何かを頼むことの必要性を考慮します。逆に、『パッケージ装飾』には不要と思われるものまで含まれている場合もありますので、そうしたものが不要である旨を申請書の備考欄に書いておきましょう。準備されていても邪魔になるだけですから。
- <照明>
照明の数と種類を確認しておきましょう。ブースは明るい方が活気が感じられますのでできるだけ明るくしたいのです。明るさとは絶対的な明るさではなく、周囲のブースとの比較です。相対的に暗いとなぜか内容まで貧相に見えてしまいます。
東京ビッグサイトのような大規模会場では、会場の高い所に設置された照明だけでは展示ブース内の明るさは十分と言えません。『パッケージ装飾』には最低限の照明も付属しておりますが、より明るくするために照明の増設をオプションで選択できるならば依頼することが望ましいです。
- <展示台、机、イス>
出展の申し込みでブースとセットで用意される机や椅子の数や大きさを確認しておきましょう。あるいは『パッケージ装飾』で用意される展示台、机、椅子の数や大きさを確認しておきましょう。
展示台が無ければ、別途確保しなければなりません。『パッケージ装飾』などで用意される机は、組み立てボックスのような味気ない展示台です。もしこれではカッコが悪く商品が引き立たない。広いスペースを確保したいので不要。というのであれば、これらを使わず(返却してもパックの費用は安くなりませんが)に、業者のオプションで、リストの中からデザインの気に入った展示台、机、イスのレンタルを選んで頼んでおくこともできます。丸テーブル、ハイチェア、ソファ・・・などが選べるので、オプションが必要ならば依頼することを考慮します。ただし、皆さんが想像するよりも高額です。
なお、レンタルの展示台はボックス状であることから机の下の空間に展示の空き箱や説明員の私物を収納しておけるというメリットはあります。(鍵はかかりません)
展示装飾会社のレンタル品を使わず、自分で机や椅子も展示物と一緒に持ち込むという選択もできます。搬入、搬出の手間がちょっとかかりますが、納得できる用意ができます。また、手持ちの什器を活用すれば安上がりに済みます。
なお、一般的なオフィスにある会議室用の長机(180cm)を展示会のブース置いただけでは少し見劣りがしますので注意が必要です。白布をかけて多少は見栄えを整えるなど工夫をすることも必要です。また、展示会場では立った状態で説明・商談をすることが多いので、会議室用の長机は高さがちょっと足りません。
- <カタログスタンド>
床置きのカタログスタンドを1本は用意したいものです。『パッケージ装飾』で用意されることも多いですし、オプションでレンタルを依頼することもできます。
自分で展示物と一緒にオフィスに既にあるカタログスタンドを持ち込むという選択もできます。
- <インターネット接続>
高精細映像の伝送デモを行うような高速で瞬時の接続切れの心配も無いような回線が必要な場合は、費用がちょっと驚く程かかりますが、業者に光インターネットの敷設を依頼しておく必要があります。
逆に言えば、それほど高度な接続品質を必要としないのであれば、無線ルーターを持ち込めばOKです。それすら使わず、スマホのテザリングでも十分であるかもしれません。強いて言えば、展示会場ではWiFi接続は不安定になる恐れがあるので(他ブースや、多数の来場者のモバイル機器の影響で)、スマホのWiFi接続テザリングを使わず、USB接続テザリングなど有線接続にしたほうが安心かもしれません。
なお、私の経験ではPCでWebページを表示する程度のインターネット接続であれば、WiFi接続でも困ったことはありません。
- <ディスプレイ>
PCからのプレゼン表示用に40インチ程度の液晶TVをオプションで壁に取り付けた状態で準備してもらうことも可能です。この時、HDMIケーブルの手配漏れが無いように注意しましょう。ただし、TVの壁着けオプションは費用がかかります。同じサイズのTVを家電量販店で買える価格よりも高いことも少なくありません。
そこで、オフィスの什器を持ち込むのと同様にTVを持ち込む選択も考えられます。ただし、この場合は壁面に取り付けることは困難ですから展示台の上に置くことになります。商品や説明パネル等の展示物の並べ方と共に考えましょう。
(モニターを壁に取り付けるには専用金具の準備や壁面の補強が必要となります。)
展示物準備1 ブース装飾
展示会に向けて準備していく必要があるものを順次説明します。
- <展示パネル(壁面)>
1コマブースで幅が3mの壁面である場合、A0縦かA1横のサイズで、3枚のパネルを壁面に貼ることができます。PowerPointで作った原稿をキンコーズに持ち込み『パネル加工セット』を頼めば作ってもらえます。およそ8000円ぐらいです。
来場者がパッと見て5秒で「何を展示している?」がわかるような内容でパネルを作らなければなりません。文字は、3m離れた距離でしっかりと読めるサイズでなければなりません。また、文字が多くならないよう注意します。その内容は、まさに今まで検討してきたマーケティングの力量が試されるところです。
・誰向けなのか
・展示している新商品はどんなメリットを提供できるのか? 顧客価値
・他社よりも、従来品よりも何が良いのか? 競争優位
・今までの実績はあるのか?(特に法人ユースの場合)
展示パネルの内容は、カタログ制作時にカタログの表紙の検討をしてきた内容と重なる点が多々重なります。安易な手段として、カタログの表紙の原稿をベースに少し手直しして大きく印刷して展示パネルを作ることも方法です。しかし、パッと見て5秒で「何を展示している?」がわかるようになっているのか?の視点で必要ならば、内容をパネル用に大きく改修した方が良い場合もあります。
- <社名の看板>
出展の申し込みで社名パネルの製作も標準的に用意されているのかの確認をしておきましょう。用意されないケースでは『パッケージ装飾』で用意される設定となっているハズですので確認をしておきましょう。
展示会の来場者は、数々ある展示してある机上の商品を眺めつつも、ちらっと上方を眺めて出展社の企業名も確認しております。有名企業の展示ブースでは社名のロゴが大きくしっかりと掲げられております。社内ルールでしっかり表記するように決められているのです。それぐらい大事なことです。でも多くの小規模ブースはこの点がおざなりです。しかし逆に言えば、たとえ小規模な出展であってもしっかりと社名やロゴを表記できていれば「ちゃんとした会社」と好感度をもたれることでしょう。少なくとも悪く思う人はいないでしょう。しっかりと印象を残したいものです。
出展要項で社名パネルの自主製作が規制されていなければ、展示パネルと同様に、社名のパネルも用意しましょう。自分で『スチレンボード』を買ってきて、複合機で印字出力した紙を貼り付け、切り抜いて自前で社名のアピール物を製作することもできます。そして、パラペットと言われるブース正面上段の場所に掲示します。
- <スポットライト>
LEDのスポットライトを展示パネルに投光できると望ましいです。また、社名の看板にも左右から投光できるとなお良いです。また、スポットライトで展示物を明るく照らすことで、展示物を引き立たせることもできます。 業者にレンタルを頼むこともできます。『クリップ付きのLEDのスポットライト』を買って展示物と一緒に持ち込むことも考えてみましょう。
展示物準備2 商品展示
展示会に向けて準備していく必要があるものを説明します。
第六章の「お披露目パック」を持ち込み展示しますが、それに加えて見せる工夫の準備も行います。
- <お披露目パック>
商品本体は、手に取って見ることができるサイズならば、お披露目パックを持ち込み展示台に配置しましょう。さらに商品を複数台用意して、展示しましょう。
ブース来訪者の方が新商品を手に取って体感している間に、机上からメインとなる展示物が消えてしまうことが無いようにすると共に、複数の来訪者に説明できるようにするためです。
- <小道具>
新商品と一緒に使われる品を並べて、雰囲気を高めるようなことも考えてみましょう。
例えば、レンガを置いてみる。敷いてみる。などの小道具を用意するだけでも雰囲気がぐっと出るものです。ホームセンターで買えば、たかだか数百円です。 - <モニター>
パソコンに20インチほどのモニターを机上に置き、PC表示や映像による説明を行うための準備を行います。
- <キャプション>
商品の品名や品番や簡単な仕様を表記したA6横以下~名刺大サイズ程度のミニパネルを用意し、商品と共に展示しましょう。
- <展示パネル>
展示台に置く商品の説明用のパネルを用意して商品の横に展示しましょう。A3横~A5縦ぐらいのパネルを用意し自立できるような脚を取り付けます。
- <POP>
商品を目立たせたり、特長を印象付けるたのパネルやアクリル板を利用した補助表示物の用意も検討しましょう。
準備日の前日(前々日)
準備日にハンドキャリィや車輌で、会場への搬入を行うのでなければ、展示物一式を宅配便の時間指定便で発送します。
また、前日までに以下の準備も行って搬入する荷物に入れます。
- <承り票>
「承り票」を作ってコピーして一緒に発送物に詰めます。10分に1件の接客頻度を想定すれば、50枚/日の用意となります。併せてペン、ホチキス、ボードも用意しておければ望ましいでしょう。100円ショップで買えるものです。 アフターフォロー時にどんなことが必要であるかを想定して作りましょう。まず、名刺を貼り付ける欄(ホチキス止め)、接客した担当者の名前や日付、対応の緊急度や連絡の必要性、そのほか 備忘録を書き込む紙面です。 資料●に参考例を添付しますので、あなたの必要なように加工して使ってください。
- <名札>
スーツなどの一般的な姿では、外から見れば、ブースの人なのか、来訪中のお客様なのかわかりません。そこで「●●説明員」などと名札を作って胸に着用します。それが親切というものです。相手の立場になって準備するという気持ちであれば、当然の準備です。あまたある小規模ブースの中に埋もれるのか、一目おかれる存在になるのかは、そんな些細な心がけからです。資料●に参考例を添付しますので、加工して使ってください
- <お掃除道具>
ゴミ箱にもできるようなサイズの段ボール箱を搬入物に入れておくと良いでしょう。他にも床についたゴミを掃除するための粘着クリーナーや商品や机上を拭く布類も入れておくと良いでしょう。
準備日(前日)
出展社バッチを忘れると入場を拒まれる場合があります。忘れずに人数分持参しましょう。遅くとも13時には準備を開始して15時には完了する予定で進めましょう。不測の事態にも対応できるよう閉場まで2~3時間の余裕は残しておきたいものです。例えば、「電源が届かないのでテーブルタップを近所の電気店までひとっ走り買いにでかける」とか「展示パネルに大きなミスを見つけて、大急ぎでキンコーズで出力し直す」など、トラブルは何か起きるものです。
車輌で搬入するならば、東京ビッグサイトのような大規模展示場の場合は「搬入車輌証」が出展社にはあらかじめ届いているハズですのでこれを忘れなく。また、車輌で搬入する予定を組んでいる場合は、時間には一層の余裕を見ておきましょう。大規模展示会ではトラックが会場入り口で渋滞して搬入までに時間がかかるということもあります。
必要ならば、出展社バッチを追加で確保します。明日から説明員として会場に来訪するメンバーや、他にも来訪する関係者の人数を把握しておき、手元にある枚数では足りない場合は事務局に出向いて追加数を確保します。有料の場合もあります。
まず、宅配で送り込んだ荷物の受け取ります。
机の配置を検討します。見学者の流れてくる方向を想定し、効果的になるよう配置を考察し机を動かします。テーブルタップで電源を伸ばします。
テーブルの上に、展示物は並べます。机上パネルやキャプションも並べます。カタログを並べます。
パネルを貼ります。
カタログラックにカタログをセットします。
箱や残ったカタログを机の下に隠します。
展示の準備が一通り済んだら、準備完了の状況を撮影して記録として残しましょう。そして、明日から説明員として担当する仲間や関係各位に準備完了の報告メールを発信して士気を高めましょう。
準備日の片付けでは、新商品などの貴重な展示物は会場内のコインロッカーに収納して帰るのが無難です。そして、コインロッカーの鍵をブースのどこかに隠しておくのです。毎日、持ち帰るというのも実はやや心配なのです。朝の電車が事故などで遅延したら肝心な新商品の展示ができないという一大事となりますし、岐路に仲間とちょっと一杯立ち寄った失敗で・・・と言うリスクもあります。と言うことで、準備日に会場に入ったらキョロキョロ見回しながら目的地を目指し、コインロッカーがどこにあるかをあらかじめ把握しておきましょう。
東京ビッグサイトのような大規模展示場の場合、準備日の会場内には、エアコンが効いていないケースが一般的です。夏は暑く、冬は寒いのです。相応の服装で出かけましょう。埃が立っていることもありますから、汚れた空気が苦手な人はマスクも忘れずに。
当日
1コマ(3mの幅)の広さでは、説明員は1~2名が適当な人数です。多すぎるのは良くありません。それ以上の説明員がいるのであればブースの外の通路から眺めてもらいましょう。ブースのサイズが2コマか、1コマでも角コマならば、もう1名多くても構いません。そして、交代で"店番"を担当できるよう、説明員のローテーションを組んでおきます。「1人1日で名刺を○○枚いただく」などの目標も掲げておきましょう。また、当たり前のことですが、説明員の私物は机の下にしまうなど来訪者の目につかないよう収納しましょう。
カタログを気軽に持って行ってもらえるよう必ず通路側に置きます。そしてカタログラックの最上段には「新商品!」などの興味を引くPOPを配置できるとなお良いです。
無理矢理にカタログを配っても成果は期待できません。来訪者が足を止めて質問してくるような「訪ねたくなる」ブース準備までの仕込みが大事なのです。具体的には展示品の展示の工夫や、パネルに書き込んだ説明分のわかりやすさです。当日の段階ではもう「どうしようもありません」。
展示会終了後
アフターフォロー
もう少し規模を大きくして行う場合
●3コマブースの魅力
3コマ横並び配置のブースで出展ができれば、広い面積で店を構えることができるため、1~2コマよりも1段階アップして立派に見えるようになります。また、1コマのブースよりも大通りに配置される可能性も高くなります。さらに、3つのウチの1つか2つが角コマになるので、接触面積(フェース)も格段に増えます。最良のケースでは1コマブースの5倍のフェースになるのです。
自前で準備するとなれば、1コマ出展の2倍超の費用が必要となりますが、単純計算では出展のコスパは良くなります。
さらに、信頼できるパートナーと共闘を組めれば、彼らと費用折半する形で出展することで、1コマ出展時の倍の費用も掛けずに出費することが可能となります。パートナーとの交流や信頼醸成にも役立ちます
●4コマブース
手作りで準備できるぎりぎりのサイズと言えます。3コマでの準備をさらに拡大してブースを作ることになります。
また、4コマ以上になると本格的なブースを作ることもできるようになります。トラスを組んで高所に企業ロゴを掲示し、また高所に多数の照明を配置しブースを明るく照らします。さらに大型モニターをトラスから吊り下げ、壁面に大きなグラフィックを印刷して見栄えの良いブースが作れるようになります。もう手作りでは準備できません。業者に手配をしなければなりません。こうなると、1コマ100万円の予算は見込んでおきましょう。
業者にも様々な特長があります。展示全体のコンセプトを決めるプロデューサ役を担ってくれる業者、展示ブースを組上げる業者、ステージの内容やステージの進行を担う業者、ナレーターやコンパニオンの手配をする業者、チラシやノベルティなどの配布物を製作する業者・・・特性に応じた使いこなしをしていくプロジェクト管理のスキルと経験が必要になってきます。
中規模で行う場合
●8コマブース
展示会の規模にもよりますが、8コマのブースになれば独立した島となり、大通りに面した位置にも配置されるでしょう。一流出展社の仲間入りとなります。出展費用も1000万円超の準備が必要となってきます。
業者選びがさらに大事になります。一流の業者であれば、誰に、何を、どうアピールしたいのかを最初に訪ねられるでしょう。第2章でしっかりと事業戦略やマーケティング戦略が完成していれば、これをベースに業者と相談を重ねていくことになります。逆に言えば、ここが不安定なまま業者との打合せにはいると、効果的な展示会の準備になりません。
この規模になると、ミニステージを設けるとか、コンパニオンを雇って注意を引くような、彩な演出ができるようになります。
ミニステージを設置して、あなた自身が、あるいは関係者で立派なプレゼンが行うことができれば効果的です。ただ、ステージを空けておいては勿体ないので、頻繁にステージを回していくためには複数の出演者の手配ができるという前提があることが必要です。複数の社員や、パートナーの登壇などのスケジュールが調整できなければ、ステージを設置した効果を得られません。そこで、社員のプレゼンではなく、プロのナレーターを起用したプレゼンを行うステージも考えられます。この場合は、台本レベルからの準備が必要となりますし、大型モニターに表示するコンテンツの制作に時間も工数も必要となってきます。ステージの大画面ディスプレイや音響装置の費用もかかります。ざっと500万円は用意しておきましょう。費用よりも大事になるのが内容です。2章で検討した戦略がしっかりできていないと、来場者の心に残るステージを準備することができません。プロに頼めば見栄えがするものができますが、中身が伴っていなければ経営的には無駄なマイナス活動になってしまいます。
コンパニオンを雇って注意を引くのであれば、配布するノベルティグッズの用意も欠かせません。さらに費用がかかります。費用よりも大事になるのがノベルティグッズの内容です。今時、ボールペンに社名や商品ロゴを入れたグッズを配っても喜ばれません。ノベルティグッズと言えども、立案したマーケティング戦略に従うものでなければ有効ではありません。これは●章にて説明をします。
1000万円コースです。
大規模で行う場合
●16コマ以上
さらに、大きなステージを用意できるのであれば、有名人を客員講演者として呼ぶこともできるでしょう。その光景をSNSなどに流すことで、有名人の知名度を利用して新商品のお披露目の効果を高めることも期待できます。
展示会場の近辺のホテルの宴会場を借りて、一部の重要な方々のみ(重要な顧客、重要なパートナー、マスコミなど)をお招きしたスペシャル企画も同時運用することでお披露目効果を高める企画を考えることもできれば検討しましょう。
さらに、新商品のニュース性が高く、マスコミを集めることができるのであれば、新商品の発表をこのスペシャル会場で展示会の初日に行うと企画を実施することも考えられます。
3000万円コース