新規事業・マーケティング研究所
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カタログ製作

カタログ制作の流れを俯瞰

 カタログの製作は 流れは図4-1の流れで進めていきます。発表から遡ってどれぐらい前の期間に何を準備するのかを記載しております。これよりも早めに準備を進めて行けることが理想です。そういう意味ではデッドラインのスケジュールと考えてください。

 カタログ製作は、新商品を発表する2ヶ月前にはどんなに遅くても着手していなければなりません。そして、カタログ製作に着手するためには、戦略が固まっていること、商品写真の撮影が済んでいることが欠かせません。戦略は少なくともPowerPointの資料20枚ぐらいには出来上がっていなければなりません。商品写真は、カタログ製作をスタートする前に撮影が完了していることは望ましいのですが、同時並行で開始しても大丈夫です。
 遅くとも3ヶ月前にはカタログ業者の選定を開始します。機密保持契約を結び、概算見積を取得しておきましょう。意中の業者には予定期間のスケジュールを空けておいてもらうようにお願いしましょう。

カタログ制作に着手する前段階で用意しておくもの

 で料理を始める前に材料を揃えておくことと同じです。戦略を策定したPowerPointの資料20枚ぐらいの中に、下記の要素が明確に記載されていなければなりません。明確であることが必要です。カタログのタイトルや特長説明に使う言葉となります。戦略が曖昧であるか、資料への記述が曖昧なままカタログ製作に突入しないよう事前に知恵を絞った努力しておく必要があります。もちろんカタログ製作の検討の中で、方向性や表記を変更することも多々あります。戦略資料に遡って修正を行います。最初から後々の手直しを想定して前段階の戦略策定をいい加減にしてはいけません。

料理を始める前に

  • 誰をターゲットとするものか?
     ああああああああああああああああ
  • 顧客にどんな価値を提供できるのか?
     ・・・などが成長期にある商品やサービスと言えるでしょう。
  • 競合比較
     競合商品があれば、比較表を作って、強み弱みを把握できるようにしておく
  • 素材
     商品の写真。商品使用シーンの写真。図やイラスト。仕様表(工業製品の場合) 品番、品名リスト(工業製品の場合)
  • 配布開始日
     制作着手から配布まで3ヶ月ぐらいの期間を用意しておく。
  • 費用
     お金をどれだけ用意できるか明確にしておく


製作工程を分解

 カタログの製作は、「原稿を作る」工程と「印刷、発送する」工程の2つに大別できます。それぞれ別の業者を選ぶこともできます。 「原稿を作る」行程のほうが「印刷、発送する」工程よりも労力も費用も圧倒的に大きいです。定量的なデータはありませんが、感覚的には4対1ぐらいの比率と考えておいてください。 また、「原稿を作る」工程では、「Webページ」や「お披露目セット」に使う「展示パネル」や「ポスター」にカタログ原稿を展開していくことを考慮しておく必要があります。カタログ、Web、展示パネル・・・が、同じようなテイスト(風合い)で、同じ決め台詞(セリフ)で、同じようなグラフィック(写真やイラストや文字デザイン)として一貫させていくことが望ましいことについての説明は不要でしょう。これらへの展開は作った後で転用を考えるのではなく、最初からマルチな展開を想定して考えておくことが、マーケティングの効果も高まりますし、コストメリットにも公開があります。 今回の説明では、カタログ原稿を作り、Webページの原稿にも展開していくという方法ですすめていきますが、逆に「Webページの原稿を作る」ことを優先させ、その派生物として印刷物のカタログ原稿を仕上げるという行程で進める方法も良いです。ページ数の制限が少なく無く、動画の掲載など多彩で大量の情報を掲載できるWebページの製作を先行して進め、この中から要点を絞り込んで、掲載量に上限がある紙面のカタログ原稿を追いかける形で作るという方法もあります。

カタログ原稿案を作る

 「敵を知り己を知れば百戦危うからず 」の孫子の兵法を知っているでしょう。まず、敵を確認しましょう。お客様という難敵です。次に、競合という本当の敵です。そして、己も知りましょう。隠れた敵として法令もあります。
   
 それでは、各ステージで、どのように商品(Products)を作って、値段(Price)付けて、販路(Place)を準備して、アピール(Promotion)すれば、人々に買ってもらえるのでしょうか。マーケティング4Pの理論に従い、Products、Price、Place、Promotionで確認していきましょう。成長期は前半と後半に分けて5つのステージで考えます。

  • 敵を知る(顧客は誰か1)
     まず、誰に見てもらうためのカタログであるかを確認します。そのためには、その商品がプロダクトライフサイクル曲線状のどのステージにあるのかを考えなければなりません。例えば、導入期にある商品である場合、これを買ってくれる顧客はイノベーターと言われる属性を持つ人達や企業です。イノベーターの属性にマッチする内容でカタログを作って行かなければ効果が出ません。  同様に、成長期である場合は、・・・・。  成熟期である場合は、・・・・。 衰退期である場合は、・・・・・と、異なります。これを念頭に入れて以下の作業をすすめていくことになります。

  • 敵を知る(顧客は誰か2)
     次に、顧客の属性について考察します。 ・法人向けである場合 どの業界? ・個人向けである場合 年齢、性別、地域・・・・?  法人の場合、商品を買う人と使う人が異なることが多々ありますので注意が必要です。商品を使ってくれる人をターゲットとしてしまいそうになりますが、法人の場合は商品の購入する決定権のある人の琴線に響くようにカタログを作って行く必要があります。法人の場合、どの業界であるのかを深掘りする必要があります。例えば運輸業という大ぐくりなターゲットではダメです。 トラック、鉄道、船、オートバイ・・・・? 一般貨物、飲食物、冷凍・・・・? 長距離輸送、個別配送、ルート配送・・・・? と、新商品・新サービスが使われるシーンを具体的に想定しながらいくつかの候補に絞り込みを行います。  ペルソナマーケティングという手法です。これは絶対に必要です。

  • 敵を知る(競合の商品・サービスの分析)
     これから売り出す新商品・サービスが、正真正銘の業界初の商品であるならば、競争相手となる商品がまだ存在していないような場合もありますが、一般的には、競争相手のカタログを取り寄せて研究することは欠かせません。何しろ、顧客はライバルのカタログとこれから売り出す我々の商品のカタログを見比べながら選択をすることが想定されます。我々のほうが良いと思ってもらえるようにしなければなりません。それと同時に、顧客候補は消去法で商品を絞り込むような場合もありますので、不本意な脱落をしないようにする必要もあります。時には、ライバルのカタログの内容が優れたものでも無いこともあります。「人の振り見て我が振り直せ」と、何が劣っているのか、わかりにくいのかを競合のカタログを入手し考察することで反面教師として 競合品は、何を特長として売り込んでいるのか? 我々はそれを上回れるのか? 下回るのか? これは誰もが気になる点ですから比較表などを作って関係者で検討することになります。ただ忘れてはならないのは、「それは、顧客にとって有意義な特長なのか?」という問いかけです。もし、顧客にとって有用でもない点を特長として取り上げているようであれば、その特長は無視しても良いでしょう。競合が顧客ニーズとかけ離れた特長を訴求しているならば、そんなアホな競合にお付き合いする必要ありません。(陰で笑ってやりましょう)


  • 己を知る(関係者へのヒアリング1)
     積極的に関係するメンバーとお話をしましょう。人を感動させるのは人の力です。顧客に感動してもらうためには、新商品の企画や開発した人の熱意を聞き、これを反映させることも大事です。メールでのやりとりではなく会ってお話することが良い新商品カタログを作る上で欠かせません。  ただし、商品企画や開発者の意見をまともに聞いてはいけません。「こんなに凄い技術で、業界初の機能を搭載したんだ!」と喜び勇んで説明してくることもあるでしょう。ましてや組織責任者が開発出身で出世して地位を築いてきたような人である場合、この「凄い商品」のカタログは「凄い」と書いてしまいそうになります。組織の圧力も感じてゆがめられてしまいそうになります。その結果、ともすると、商品・サービスの特長を書き並べたようなカタログを陥ることもあります。意見を鵜呑みにせず、冷静に整理して情動的な面と、分析的な面の両方を持ち合わせて、熱い魂をクールに包んで。

  • 己を知る(関係者へのヒアリング2)
     あ例えば、カタログを配ってくれるのは、販売店の人達であるかもしれません。どんなシーンでカタログを使って説明するでしょうか。  パートナー方々の知識やマインドも想定して、カタログ内容がこれから乖離をしないようにしなければなりません。カタログを使って顧客に説明するパートナーの方々にとって説明困難な専門用語が並んでいては敬遠されてしまうかもしれません。逆にパートナーの方々に専門知識を持っているのであれば業界用語が適切に使われているほうが説明しやすいでしょう。

  •  

法令遵守

 商品企画の資料のような企業内の資料であれば、十分な根拠が確認できていなくても商品の特長を表現するために記載しているような内容でも、社外に公開していく資料では、適切な根拠を提示できないような訴求を行うことは許されません。
 日本で配布するカタログには、景品表示法に違反しないように表現、表記をしなければなりません。例えば、「日本初の●●新登場」と表記するならば、根拠を示さなければなりません。「従来よりも●倍に強化」と表記するならば、比較した従来品が何であるかを示しておかねばなりません。比較が妥当と社会的に判断できる商品を選ばなければなりません。例えば、何世代か前のかなり古い過去の商品との比較であれば触法する恐れがあります。医薬品の承認がとれていないのに、「便秘がなおる」のような効能を暗示させるような表記も法令違反となります。


カタログの表紙を作る

 シャープでも、
  • 大枠
    カタログ表紙には、図4-2のような情報を表記します。ここに表記するための各要素が準備できているか確認しましょう。料理を始める前に材料を揃えて、皮をむく、刻む、下味を付ける・・・などの準備をしておくこと想像してください。戦略資料が仕上がっていれば、大体の内容は網羅されているハズです。

     業者にはこの状態まで揃えてから説明をすることで、円滑に製作が進み出します。手戻りも少なくなることで費用も節約できます。また、業者への説明の前に、新商品のコアメンバーの中で軽く内容の合意を取っておくことで、カタログ製作が円滑に進みます。レイアウトは図4-2よりも自由に作っても構いません。お好みのレイアウトとなっている既存のカタログを見せながら業者に要望を説明してください。

  • タイトル
    10~20文字にまとめます。顧客価値か競争優位が語られているものでなければなりません。戦略資料に「一言で言うと」としてまとめた文章をカタログの表紙に商品タイトルとして置きます。そのまま置いてもOKの場合もありますが、カタログ用に言い直しを行う必要があるケースもあります。戦略資料の段階で、誰をターゲットとしているのかを明確にしていますが、ここでもターゲットの琴線に響く内容となっているかを再確認します。新規性のアピールが大事なのか、商品の便益(お役立ち)を訴求することが良いのか、実績を訴え安心感を持たせるほうが良いのか・・・とターゲットによって、全く同じ仕様・性能の商品であっても訴求タイトルは異なってきます。ここではプロダクトアウトに陥らないように注意しましょう。
     専門用語を敢えて取り入れることで、その商品を必要とする人たちに強くアピールすることも方法です。
     競合品のカタログのタイトルも考慮します。競合品よりも上回っていることが伝わるように。また競合品よりも魅力的であると受け止められるようにします。
     自社商品の前モデルのカタログがある場合、ここで訴求していた内容とうっかり矛盾するような訴求とならないよう考慮します。パートナーが存在する場合、パートナーにとって双方Win-Winを誘導するようになっているよう考慮します。タイトル1本の文に訴求内容を集約できない場合は、サブタイトルを併記することも考えます。サブタイトルは、(メイン)タイトルよりも小文字で表記することになりますから文書量を少し多くできます。だからといって、あまり書き込まないように絞り込む努力は欠かせません。例えば日本の伝統の俳句は17文字です。この文字数で世界観を表現できるのですから知恵を絞るとこころです。体言止めで終わらせるのが一般的です。また、末尾に“!”は付けないほうが良いです。スーパーの安売りチラシみたいになってしまいます。
     Webページにもカタログと同じタイトルを展開することになるでしょう。そうなると、Google検索で、良く打ち込まれるワードを入れておく(SEO対策を考慮しておく)ことも検討しましょう。文字フォントについても少し考慮しましょう。商品の訴求と重なっているような文字の種類を選びます。太く堂々としたフォントが良いのか、繊細な感じのフォントが良いのか、色や濃さ はどの程度が適切か、と多数の関係者の意見を聞き、意見を取り入れると、多くの場合、突破力の弱いタイトルになってしまいます。キーマンの意見を聞かないと、今後の諸々の推進に支障を来すこともありますので彼らへの配慮は必要ですが、戦略段階から徹底して思考を重ね続けてきた数名しかその商品のタイトルを決める力はありません。

  • 特長
     戦略資料で、競争戦略と顧客価値について既に決めている中から選びます。まずは3つ程に絞り込むのが良いですが。2つであっても構いません。逆に5つでも不可ではありませんが、ちょっと多いです。言いたいことがいろいろあるかもしれませんが、できるだけ要点を絞ってみましょう。特長としてアピールする要素は、競争優位だけから選んでも良いですし、顧客価値からだけ選んでも良いです。混ぜても良いです。
     例えば、「世界一の薄さ」は競争優位です。競合品と比べて勝っていることをアピールする競争優位を特長とすることは良くあることです。あるいは、「スーツの胸ポケットに入る薄さ」とすれば、顧客価値をアピールすることになります。つまり便利さをアピールすることです。両方を記載することも、どちらか一方をメインのアピールとして、他方を補足的に使うということも方法です。
     どちらをメインにするか? これは、このカタログを見ていただくことを想定している人の属性によります。様々な視点から考えます。まず、普及理論で考えるとすれば、ターゲットの属性がイノベーターであれば「世界一の薄さ」をアピールすることが良いでしょう。これに対し、ターゲットの属性がレイトマジョリティであれば「ポケットに入る」と利便性のアピールをメインにするほうが良いでしょう。しかしながら、固定的に考えないようにしましょう。競争環境により異なります。例えば、レイトマジョリティへのアピールとなると、かなり商品が普及した段階です。この時点で自社がシェアトップを走っているのであれば、顧客価値の訴求のアピールが良いでしょうけれども、自社のシェアが2番手でトップに肉薄して攻撃的な挑戦をしている最中であれば、競合よりも勝る点をメインのアピールとするために競争優位をアピールすることが良いでしょう。
    競争戦略のどの戦略をチョイスしているかによってもアピールすべき特長の選択は異なります。例えば、コストリーダーシップ戦略を選択して、苛烈なシェア争いをしているのであれば上記に述べたようになりますが、差別化戦略を選択している場合は、競争優位とアピールして違いを印象付けることを徹底したほうが良いでしょう。その際は差別化された分野の人達なら理解できる専門用語を使うことにより、専門性に拘った商品であることをアピールすることも方法です。一方、集中戦略で顧客を囲い込んでいる場合は、顧客価値をアピールしていくほうが良いと考えられます。
     これらは考え方を提示させていただいたものです。残念ながら、特長を選抜する方法はマーケティング戦略から一様には決めていくことができくいのです。だから、「マーケ戦略の●●理論によりこうあるべし」とあまり固定的に考えないようにしてください。
    あくまで、ターゲットを想定してペルソナマーケティングの手法で決めていくと言うことは欠かせません。戦略資料の中で、競争戦略と顧客価値、バランスを考えて選んでください。 もしターゲットが2種あり、アピールする特長を統一できないならば、どちらつかずの中途半端なアピールで、誰の琴線にも響かないようなカタログを作るよりは、全く同じ商品でもアピールする特長が異なる2種のカタログを作るほうが良いでしょう。予算やターゲット別にうまく配布できる力(マーケティング4PのPlaceの能力)があれば一考に値します。
    早い、軽い、美しい・・・の形容詞だけではなく、数値をアピールの中にいれることができると望ましいです。客観性が感じられるようになります。特長を3つ掲げるならば、1つぐらいは数値を入れたアピールができないか検討してみましょう。
    ただし、数値を入れる場合は、公明正大に説明できる根拠を提示できることが不可欠です。そうしないと景表法に抵触してしまう恐れもあるので注意が必要です。 タイトルの時と同様に、競合品のカタログ、自社商品の前モデルのカタログと並べてみながら考慮します。競合品よりも上回っていることが伝わるように。また競合品よりも魅力的であると受け止められるようにします。 Webページにもカタログと同じ特長を展開することになるでしょう。そうなると、Google検索で、良く打ち込まれるワードを入れておく(SEO対策を考慮しておく)ことも検討しましょう。


  • 商品写真・利用イメージ
     タイトル内容を視覚化した写真やイラストをグラフィックとしてカタログの表紙に配置します。タイトルを読むよりも先にグラフィックが目に飛び込んできて脳が無意識に処理をします。右脳の直感を司る機能が「おお?」「おお!」と興味を引くように作ります。魅力的であることはもちろんですが、タイトル内容を説明するものとなっていることが欠かせません。ターゲットとする顧客に関係の深い内容となっていなければ、琴線に響きません。見た目がカッコいいグラフィックにするのも方法ですし、「そういうの、ある。ある。」と共感を呼ぶような内容にするという方法のいずれも考えられます。お金があれば、女優の写真を配置し、エンドーサーとすることもできますが、今回の製作では痩せがまんで見送りましょう。
    写真は、商品の写真と背景の写真に分けて考えていきます。商品の写真は、撮影したものを使うことになります。商品単体を撮影した「商品写真」か、商品を使っているシーンを撮影した「シーン写真」のいずれかを選ぶことになります。よって商品撮影の時には、カタログ表紙の仕上がりを想定して望むカット、望むシーンを撮影計画に組み入れておくことが望ましいです。
    背景の写真(素材)は、撮影した写真からチョイスするという方法と、様々な写真を業者に調達してもらう方法の2種から選ぶことになります。調達する場合は、無償で素材を入手できる場合もありますが、有償であればより良い素材が入手できます。例えば、空や海などの素材は無償で入手しやすいです。一方、店舗シーンとなると無償の素材もありますが、意図したシーンに合うような写真は有償素材しかないというケースも多くあります。このため、商品撮影の時には、カタログ表紙の仕上がりを想定して背景として使えるシーンの撮影計画も可能な範囲で組み入れておくことが望ましいです。
    タイトルの考察時と同様に、競合品のカタログ、自社商品の前のモデルのカタログ、パートナーのカタログなどの資料を横に置いて商品写真・利用イメージの考察を行います。  著作権に触れないよう留意を払う必要があります。関係者が作った資料に掲載してあった写真やイラストをカタログに利用する際には、Webページなどから入手した写真を資料に使ってしまっているケースが良くあるので注意が必要です。

  • 己を知る(関係者へのヒアリング2)
     例えば、カタログを配ってくれるのは、販売店の人達であるかもしれません。どんなシーンでカタログを使って説明するでしょうか。  パートナー方々の知識やマインドも想定して、カタログ内容がこれから乖離をしないようにしなければなりません。カタログを使って顧客に説明するパートナーの方々にとって説明困難な専門用語が並んでいては敬遠されてしまうかもしれません。逆にパートナーの方々に専門知識を持っているのであれば業界用語が適切に使われているほうが説明しやすいでしょう。

  •  

カタログの裏面を作る

 シャープでも、
  • 大枠
    カタログ裏面には、図4-3のような情報を表記します。表紙と同様にここに表記するための各要素が準備できているかの確認をしましょう。なお、このカタログの最終ページは業界用語で「表4」と称されます。


  • 商品特長の詳細に説明
     カタログ表紙では右脳を刺激する直感的なアピールで顧客候補の興味を引いてカタログを手にとってもらったことを受けて、このカタログ裏面では左脳を刺激するように論理的なアピールを行います。 表紙に配置してアピールした商品の特長の内容をさらに掘り込んで顧客価値や競争優位を説明します。戦略資料が仕上がっていれば、大体の内容は網羅されているハズです。 できれば、この特長説明の前に、従来の課題説明とこの新商品により解決できる価値を説明することができれば、これを前段階で説明をしたいものです。良く言われる「ソリューション提案」ということになります。Before~After形式で説明すると理解をしてもらいやすくなります。

  • 商品の仕様・諸元
     紙面の広さから、仕様の情報を全て記載できない場合は、顧客が購入時に重視する内容を重点的に記載して、仔細はWebページに記載することにしましょう。 商品の箱に同梱される取扱説明書の内容と相違が無いように揃えましょう。


  • 商標権表記
    さまざまなカタログを見ていると最終箇所に「●●は■■社の登録商標です。」という表記がされていることはお気づきでしょう。我々のカタログでも、文中に使っている言葉で、怪しいと思われる名前はすべてGoogleで検索してみましょう。「●●」と「登録商標」の2ワードで検索すれば参考にできる事例を見つけることができる可能性が高いです。(絶対ではありませんが大いに参考になります)
    正式には特許庁のデータベースにアクセスし商標登録の有無を確認する必要があります。また、その商標の権利を取得している企業のホームページに、商標権の表記についての説明が記載されていることもあります。この場合は、その企業の指定する表記に従う文書をカタログに記載することになります。
    極めつけは「記載されている会社名、製品名は各社の商標、または登録商標です。」と記載すれば、確認漏れがあっても網羅されます。必ずカタログの文末にはこの文書を入れておきましょう。

  • 各種注釈
     例えば、 予告なく変更になります。   。

  •  

印刷から配布まで

 シャープでも、
  • 業者を選定する
    ここまで準備が整いましたら、業者に見積を依頼して発注します。「原稿の製作」工程と「印刷、発送する」工程の2つに大別できます。それぞれ別の業者を選ぶこともできますし、まとめてお願いすることもできます。
    △「原稿の製作」工程
      見積依頼のため用意するもの
        ・カタログ原稿案(表示、裏面)
        ・商品写真
    △「印刷、発送」工程
      見積依頼のため用意するもの
        ・印刷用紙の種類(サンプルとして類似品を入手しておけば良い)
        ・発行部数、送付先、納入日(EXCEL表にまとめておくと良い)

    「印刷、発送」工程は、だいたい確立された作業を流していくだけなので、業者間に大きな差は生じませんし品質のばらつきも大きくはありません。(もちろん都内は高く、地方は安いという感じはあります) 候補となる業者から印刷サンプル例を見せてもらいつつ見積を依頼し、提示された価格とお会いした際の信用度で判断しましょう。
    一方、「原稿の製作」工程は、それよりも不定形な作業となりますので、見積金額にはかなりの差がつくことがあります。3倍も5倍もつくこともあります。暴利? コスト高の会社? と疑いたくなるかもしれませんが、質の高いカタログを作ろうとすると、費用もかかるものです。
    ここでは費用をあまり掛けずに新商品を立ち上げることを想定しておりますので、原稿案の完成度を高めて、費用も抑えることにします。
    見積で示した原稿案の通りに確定したタイトルや特長の文書や仕様表を、印刷原稿に「流し込んで」もらうだけならば費用にそう差は出ないハズです。一方、アピールポイントのタイトルや特長の説明箇所を一緒に考えていただくことになると相応の費用もかかります。内容が確定するまで何度か打合せをする必要があります。さらにコピーライターを起用してもらって提案をしてもらうとなると費用がさらにかかります。(著明なコピーライターですと車も買えるような金額になりますが、今回はやせ我慢をして見送りましょう)
    同様に、カタログ表紙の商品写真の箇所の内容を高めようとすると費用はかかります。より良い写真を選ぶ作業や有償写真の購入費用、商品を引き立たせるように素材を加工し表紙用のグラフィック製作する作業を納得するまで繰り返すことなると費用がかかります。どの程度のクオリティで納得できるか(妥協するつもりであるのか)を業者に伝えていくことが肝心です。グラフィックの製作は抽象的なのでなかなか伝達しにくいので、既存のカタログのサンプルを見せて「こんな感じにして欲しい」と具体的に伝えると良いでし

  • 見積取得と発注
     多くの製作業者は下請法が適用される規模の企業です。よって有名な大企業の製作業者に発注するケースで無ければ、下請法に抵触しないように留意する必要があります。難しいことではなく、商道徳に従う正々堂々としたお取引をすれば良いだけのことです。きちんと見積をいただき、発注書を発行し、期日までに支払うということです。無理な価格や納期の要求するようなことは禁じられています。

  • 納品管理
    △原稿を入手する
       ・本物の原稿
                  多くの印刷原稿はフォトショップというアプリで製作されます。入手する原稿データはフォトショップのファイル形式となります。普通の人(フォトショップをインストールしていない人)のPCでは開くこともできませんが、DVDに焼いて納品してもらいます。(次の改版のためにも)
                ・pdf原稿(トンボあり)
                 高精度のpdf原稿を納品してもらいます。この原稿があれば、街角の印刷屋さん(キンコーズなど)で、すぐに、印刷できます。(極端に言えば30分以内に数十枚ぐらいの印刷も可能です)
                ・pdf原稿(とんぼなし)
                  事務所の複合機で印刷するための原稿です。
                ・pdf原稿(トンボなし フィルサイズを小さく
                  圧縮されている高精度ではないpdfファイルも作ってもらいます。カタログ原稿をメール添付で送ることもあるでしょう(お客様に、関係者に・・・)そんな時は、メール添付できる程度のサイズに(最大で5MBのファイルサイズ程度)。添付ファイルが大きすぎると、送れないこともすくなくありません。送る側、受け取る側のメールサーバが大きな添付ファイルがあると拒絶する上限を設定しているものです。